高専の専攻科ってどんなところ?専攻科卒業生が徹底解説

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高専

皆さんこんにちは!

高専卒業生のimokenpiです。

このブログでは高専に入学を検討している学生へ向けて様々なお役立ち情報を提供しています。

入試情報や勉強方法、就活情報など掲載していますので、興味のある記事がありましたらぜひご覧ください。

 

今回は私が卒業した高専の専攻科について様々な情報を共有できればと思います!

高専には専攻科ってのがあるらしいけど、何するところ?
そもそも専攻科って何?

 

このように高専は知ってるけど専攻科は聞きなじみがない方も多いのではないでしょうか?

今回は以上のように高専専攻科について詳しくない方へ、専攻科という制度の説明、勉強内容などを紹介していきます。

最後までお付き合いいただけると嬉しいです。

 

✓ この記事の内容
・専攻科の制度について
・専攻科での勉強内容
・専攻科卒業後について

 

専攻科の概要

専攻科とは高専の5年の後にプラスで2年、より高度で専門的な教育を受けられる場になります。

専攻科は5年間の高専教育の上にたって、さらに2年間のより高度な技術教育を行うことを目的として、1992年に初めて設置されました。

専攻科の設置により、技術開発力、問題解決能力を備え、広く産業の発展に寄与できる高度で幅広い知識を持った技術者が誕生しています。

専攻科 | 国立高等専門学校機構

専攻科は、51高専全てに設置してあります。

そして、専攻科を卒業すると、4年制大学卒業者と同等の「学士」の学位を取得することができます。
いわゆる大卒と同じ資格になります。
(正式にはある特定の機関へ申請し、審査に合格することで学位を取得できます。ですが、卒業できるのであれば申請すれば特に問題がなければ取得できます。)

この後、就職を希望する場合は就職、更に研究を深めたい場合は、大学院への進学も可能です。

 

専攻科へ進学するメリット

専攻科を卒業した自身の経験から専攻科へ進学するメリットは7つあります。

✓ 高専専攻科のメリット
・学費が安い
・成績上位なら推薦で入れる
・大学卒業の資格が得られる
・就職に強い
・大学院へ推薦してもらえる
・同じ研究を続けられる
・環境の変化に左右されない

以下でそれぞれのメリットについて解説していきます。

 

学費が安い

国立大学に通うより、約100万円安いです。

学費の比較 – 函館工業高等専門学校

高校1年から大学4年生までの合計になります。

公立高校は授業料が無償化になっていますが、高専は年間約23万かかります。

一見公立高校のほうがお得じゃん!と思うかもしれませんが、大学4年生まで進学するのであれば高専専攻科に進むことが一番お得になります。

公立高校から国立大学に進学すると、高専以上に入学金、授業料がかかります。

そのためトータルで見ると高専の専攻科を卒業するほうが学費は約100万円安くなります。

専攻科国立大学
入学金8.5万28万
年間授業料23.5万54万

専攻科と大学の学費の比較 | 小山工業高等専門学校

 

私は保護者の所得状況の関係で授業料減額の対象だったので、この金額よりも安い学費で卒業できました。

結構対象となる方は多いと思います。

 

成績上位なら推薦で入れる

高専は各学科の中で試験や授業態度、提出物等の評価により、前期・後期ごとに順位が決定されます。

この順位が高い人は専攻科の推薦資格が与えられます。

定員の約半分くらいの人が推薦をもらえる形でした。

私は物質工学専攻という定員約8~10人ほどの科に進学しましたが、その中で推薦をもらえるのは4名で自身は4位以内に入っていたため、推薦をもらって合格しました。

成績上位なら推薦がもらえて比較的スムーズに入れる印象です。

 

高専での成績が上位であると大学への推薦ももらえますが、専攻科の推薦のほうが難易度は簡単だと思います。

専攻科入試はいつもお世話になっている教員が面接官であるので過度に緊張しないし、ある程度自分がどのようなモチベーションを持っているかも教員に知っていおいてもらえるので、大学の推薦入試を受けるよりも難易度は明らかに易しいです。

 

大学卒業の資格が得られる

これだけいいこと尽くしですが、なんと大学卒業と同等の「学士」の資格がもらえます。

専攻科を修了した人は、「独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構」に申請し、審査に合格することで、「学士」の学位を取得することができます。


学費はどれ位かかるの? – 佐世保工業高等専門学校

大卒と同等の扱いになるということは、就職した際は大卒の初任給がもらえるということです。

実際自分も大卒のお給料をもらえています。

学位授与機構に申請が必要ですが、基本的にこれといった問題がなければ全員合格できます。

私も含め、同じ科の専攻科生、ほか科の専攻科生でも不合格になった方はいませんでした。

 

就職に強い

高専では社会に出てもすぐに活躍できるように実践的な知識や技術を身に着けることができます。

これまでの先輩方の企業や研究機関等での活躍の実績から、多くの求人が高専生に来ています。

専攻科生宛てにも多くの求人が来ます。

修了者数就職希望者数求人数求人倍率
電気電子システム工学コース64733183.3
機械制御システム工学コース44715178.8
建設工学コース54412103.0
合計15121860155.0

求人倍率|進路関係|舞鶴工業高等専門学校

求人を送ってくれる企業は大手のメーカーやインフラ系の会社から様々です。

下記記事でどのような企業から求人が来るのか紹介していますので、興味があればぜひご覧ください。

 

大学院に推薦してもらえる

専攻科から就職する人もいれば大学院に進学する人もいます。

おおよそ3割の専攻科生は大学院に進学します。

就職進学(大学院)その他
旭川高専 1)57%39%4%
長野高専 2)68.2%31.8%
和歌山高専 3)78.6%14.3%7.1%
全高専 4)68%30%2%
引用
1) 進学・就職の実績|旭川工業高等専門学校 [学校案内サイト]
2) 就職・進学|長野工業高等専門学校
3) 就職・進学 – 和歌山工業高等専門学校
4) 就職・進学データ資料 | 国立高等専門学校機構

 

進学を希望する専攻科生は自分が所属している研究室の担当教員からつながりのある大学の研究室を紹介してもらえます。

私自身も研究室の担当教授から「国立の大学院の研究室を紹介できるけどどうする?」というように確認されたことがあります。
就職に決めていたためその大学には進みませんでしたが、こういった推薦のようなことは実際あります。

友人は実際に担当教授とつながりのある研究室を紹介してもらい、推薦入試を受けてその大学院に進学しました。

このように専攻科に進学するとその後の大学院進学のサポートも受けられます。

 

同じ研究を続けられる

高専本科4年生後期から始まる卒業研究を専攻科生でも続けられます。

高専本科4年生後期から5年生まで研究活動をして、最後は発表、論文作成まで行いますが、やはり1年弱という短い期間なので、「面白くなってきたー!」というところで終わらせなければなりません。

しかし、専攻科に進学すればこれまで進めた研究に続けて取り組むことができます。

 

環境の変化に左右されない

高専本科から大学3年生に進学する人も多いです。

しかし、大学3年次に編入するともちろんですが、慣れない環境でまた再スタートとなります。

私は環境の変化が得意ではなく、落ち着いた慣れた環境で勉強や研究に集中したかったので同じ環境で学べる専攻科を選択しました。

 

専攻科へ進学するデメリット

今までご紹介したように専攻科へ進学するメリットは多くありますが、反対にデメリットもあります。

ここからは私が実際に専攻科に進学して感じだデメリットを紹介していきます。

 

✓ 専攻科へ進学するデメリット
・研究設備が大学と比べると少ない
・人脈が広がらない
・求人以外の企業は専攻科を知らない

研究設備が大学と比べると少ない

研究室にもよるかもしれませんが、全体的に見て研究設備が大学よりは整ってないように感じました。

学費が安いので当たり前かもしれませんが…

ほぼほぼ高専内の設備で事足りましたが、たまにあの測定機器が高専にはないから〇〇大学に借りに行こう!みたいな感じで借りに伺うケースもありました。

さらに研究活動をしていると学会という研究発表会のようなものに出席する機会があるのですが、

そこに出席して発表した時に高専と大学の研究レベルの差を感じました。

高専でもすごく研究に力を入れている研究室もあります。そういう研究室では大学との差はほぼないかもしれませんが、

自身が所属していた研究室では大学と同様の熱量で取り組む研究室ではなかったので、特に差を感じたのかもしれません。

私の友人が所属していた研究室ではすごく熱量を入れて、毎日仕事のように8時間勤務+残業2時間くらいしてるのでは?みたいな研究室に所属していましたが、そういった研究室は研究成果もしっかりと出して、学会でもいくつか賞を受賞していたので、研究室次第の、ところはあるかもしれません。

ですが全体的に熱量の高い研究室は多くないように感じました。

肌感覚的には全体的に設備の豊富さや研究への熱量が高い学生は大学へ編入する方が合っているのかなと思います。

落ち着いた環境で同じ研究を続けていきたいというモチベであれば専攻科はぴったりな環境だと思います。

 

人脈が広がらない

先ほどからお伝えしているので薄々気づいている方もいるかもしれませんが、人脈はあまり広がらないと思います。

高専本科から同じ環境で専攻科という所属になるだけなので、新しい人との出会いも無ければ、教授との繋がりも高専内で留まることになります。

心機一転して新しい環境で、新しい友人や教授方と出会って、人脈を広げたい!という方には大学を圧倒的にお勧めします。

 

求人が来る企業以外からの認知の低さ

求人を専攻科あてに送ってくれる企業は専攻科の仕組みをある程度知っていたり、先輩がいたりしますが、

それ以外の企業に就職を考えている場合は専攻科?となる可能性があります。

そして、専攻科でも初任給が大卒と異なる設定される場合があります。

本科生でも専攻科あての求人は見れるはずなので、自分が就職したい企業の求人が専攻科あてに来ているか確認し、来ていない場合は大学に進学を検討するのも一つの手かもしれません。

私は求人は来ていませんでしたが、高専と共同研究している企業に就職を検討しており、企業側も高専の制度に理解があったため、大卒扱いとして働かせてもらえています。

 

結論

✓ 結論
・学年順位が高く、環境に左右されずに勉強、研究に取り組みたい学生は専攻科へ!
・研究を高い熱量で取り組みたい学生は大学へ!

目的ごとに専攻科があっている人、大学があっている人がいると思います。

すべての人に当てはまるベストな進路はなかなかありません。

自分はどんなことをしたいのか、どんな企業で働きたいのか考えてみて、それから自分に合った進路を選択してみてください!

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